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会社を知るスタッフインタビュー05

スタッフインタビュー いきもの好きの履歴書 05

 

 私にとっての昆虫の魅力は、多様な形、多様な暮らしにあります。
 環境共生推進部 主任 伊藤 元


‐ 当社の昆虫系技術者は幼い頃から虫に魅了された方が多くいますが、伊藤さんはいかがでしたか?

私の場合はそれほどでもありませんでした。それどころか小学校高学年から高校時代の大半にかけて虫とは縁のない生活を送ってきました。小学校入学前に近所の公園でエンマコオロギを捕まえようとしていた記憶がありますが、小学生のときは虫を採るのも飼育するのも下手だった思い出しかありません。

‐ そうだったんですね。自然環境にも特に興味がなかった?

というわけではないのです。若い頃は山でのサイクリングや山歩きが好きだったので、緑の中にいること自体は好きでしたし、自然環境の大切さは意識していました。ただ進路は、人文系を志望していました。しかし、なぜか理系の大学に入学し、せっかくなら昆虫を調べるのがいいかなと漠然と希望していながら、配属された学科はあまり興味のない分野でした。

そこで一念発起して大学院から昆虫の研究室に入ったものの、大学4年間で生物学の基礎をしっかりさせていなかったことは後々まで響きました。何に取り組むにせよ、基礎は絶対に大事です。

途中、休学して青年海外協力隊でマレーシア・サバ州にいた時も、昆虫の標本管理に携わり、一貫して自然環境と関わってきました。

‐ 青年海外協力隊には、昆虫の標本管理のお仕事もあるんですね。初めて知りました。

はい、募集は非常に少ないのですが、そういうのもあるよ、という話を身の回りの協力隊OBから聞いていたんです。海外で生活するのも面白いと思っていましたし、語学にも興味があったので、試験を受けてみました。

‐ どれくらいマレーシアで生活されたんですか?

任期は二年でしたが、あちらの生活が非常に気に入ったので任期を延長させてもらい二年半滞在していました。

海外で生活していると、日本を外側から見ることができて、自分にとっては人生においてとても重要な時間だったと思います。

‐ そのままマレーシアで生きていくという選択肢もあったんですか?

はい、実はそのつもりで、帰国して学位を取った後、配属されていたマレーシアの大学で研究を続けるべく手続きを進めていました。ただ、色々と踏み切れない理由もあって、日本の大学の研究室に研究生として居候しながら、家族の住む神奈川県内か東京で働くことを模索していました。

ちょうどその頃、ちいかんで働いている研究室の後輩と連絡を取り合っていましたが、「うちの会社に来る?」と誘っていただいたのです。そこで何も考えずに飛び込みました。

‐ それはすごいご縁を感じます。

建設コンサルティング・環境コンサルティングの業界やお仕事については全く知らないままに就職されたんですか?

はい。同業の会社でバイトしていたものの、ただ調査やソーティング、データ入力をしていただけで、その業務の背景など何も考えていませんでした。体力には自信がありましたが精神的な強さが要求される、という噂は聞いていて、そこは少し怖かったですが(笑)。

‐ ちいかんに入られてから、どのような仕事をされてたのでしょうか?

入社後しばらくは昆虫担当として、主にアセスメント・調査業務を行っていました。その後、行政や民間向けにコンサルティングを行う部署ができたタイミングでそちらに異動しました。

今は民間企業や自治体の生物多様性の取り組みを支援するような仕事をしています。

‐ 具体的にお仕事のやりがいというか、面白さを感じる瞬間はどういうところですか?

正直に申しますと、昆虫採集・観察ができるところです(笑)。

ふつうの会社員ならば休日にやらざるをえないことを平日にできるのは幸せなのかもしれません。

また、少し前の話になりますが、環境省のヒアリ対策業務には具体的な調査方法や対策が見えていない段階から携わり、新たな発見や提案をすることにより対策がより深化したのは、実にやりがいがありました。また、調査をしていても、現地で出会う方々には、「ヒアリ対策」ということがわかった途端「がんばっているね、ご苦労様」と言ってもらえるのが本当に嬉しかったです。

‐ 昆虫採集、やっぱりお好きなんですね!

そうですね。私にとって昆虫の魅力はその多様な形、多様な暮らしにあります。昆虫は自分の手に取って、心ゆくまでじっくりと観察できる。そして標本にすれば時を止めて見られるのがいいですね。採集自体に燃えるタイプというよりは、観察することに喜びを感じるタイプなのかもしれません。

もちろん採集も楽しいです。危険な目に合うこともありますけど。

‐ 具体的にはどんなご経験をされたんですか?

いくつかありますが、そのうちの1つはハチに襲われたことです。

沖縄本島で昆虫採集中、コガタスズメバチの巣を網の柄でつついてしまい、地鳴りがしたのち多数の働きバチに襲われました。

‐ 地鳴りですか?

コガタスズメバチは本土だと樹上や軒先に営巣しますが、沖縄では地中に営巣します。巣を突いてしまったので多数の働きバチが一斉に飛び出し、地中から羽音による地鳴りがしたのです。

‐ 大丈夫だったんですか?

その時は脚をケガしており、網の柄を杖代わりに歩いていたほどだったのですが、同行者によると物凄い早さで駆けていたそうです。体にしがみついて刺し続ける多数のハチを摘まんで引っぺがしつつ走り続けました。アナフィラキシー体質ではなかったようで命に別状はありませんでしたが、命の危険は感じました。

この件では、ハチの危険に対して逃げるのがよいこと、火事場の馬鹿力は本当にあることを知りました。

‐ なかなか趣味を極めるのも大変ですね。お仕事の話に戻りますが、伊藤さんがお仕事を進めていく中で、気をつけているところ、大切に思っていることはありますか?

仕事に関わらずですが、証拠や根拠をもとに記述するようにしています。

推測ならば推測であることを明らかにしていればもちろん問題ありませんが、特に書いて残るような場合は背景に根拠があると一言の重みが全く異なります。

また、写真撮影の際には、資料のレイアウトと同様、「それを使って何をどのように語るか」意識するように心がけています。とはいえ、現実のところ撮影した写真のほとんどはひどい出来ですが。これも環境コンサルティングに限った話ではないですね。

‐ はい、他の様々なシチュエ―ションにも共通するお話ですね。

あと自分の改善したい点としては、今の部署に異動するまで、生きものに対する自分の興味と金銭を結びつける習慣があまりなかったことが挙げられます。これは特に民間のお客様とおつきあいする上で痛感しました。ビジネスとしての価値を提供しないと、そこに高い理念があったとしても商売は難しいです。今更すぎる基本的な気付きではありますが、これからはもっとそれを考えていくべきだと思っています。

‐ 環境コンサルタントとして大切な視点だと思います。いろいろな経験を積んで今に至っておられる伊藤さんですが、この業界を目指す人に、なにかアドバイスはありますか?

やはり生きものや自然に触れあえる事に喜びを感じるのであれば、適職だと思います。

ただ先ほどのビジネスの話にも関わりますが、自然環境保全という目的を達するためのプロセスは、たくさんあると思います。

そういった意味では、NPOや公務員もそこに至る道だと思いますので、それぞれに実現できること、できないことをよく比較して、自分に合った道を選んでいただければと思います。

‐ これは恒例になっているのですが、好きな言葉や座右の銘はありますか?

「座右の銘を持たない」というのが座右の銘です。

‐ さすがです(笑)。最後になりましたが、少しだけプライベートなお話をいただけると嬉しいです?

そうですねー。休みの日は子供と過ごそうと思いつつも疲れて寝てしまい、子供に呆れられることも多く、あまりいい父親ではありません。

たまに子供と公園に行って虫を見るのが楽しみの1つですね。

あ!プライベートで今楽しいのは、40年以上応援しているプロ野球球団・ベイスターズが好調なことです!(笑)

‐ このインタビューは最後に自分が大好きな生きものを紹介していただくのですが、いかがですか?

絶滅した可能性のある小笠原のマボロシオオバッタが生きた姿で目の前に現れたら卒倒しそうですが、妄想ではだめですか?

‐ いえいえ、とても元さんらしい締めだと思います!ありがとうございました。

いきもの好きの履歴書 バックナンバー
Vol.6 北海道支社 自然環境研究室主任 阿部 このみ


Vol.5 環境共生推進室主任 伊藤 元


Vol.4 大阪支社 生物多様性推進室主任 上村 晋平


Vol.3 名古屋支社 自然環境研究室室長 田中 一男


Vol.2 九州支社 自然環境研究室主任 津田 朋香


Vol.1 東京支社 生物多様性推進室室長 彦坂 洋信


 

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