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会社を知るスタッフインタビュー01

スタッフインタビュー いきもの好きの履歴書 01

 

 重要なのは、「自然環境を良くすることが、人の暮らしを豊かにする」と
 信念をもって取り組むこと。
 東京支社 生物多様性推進室室長 彦坂 洋信


‐ 彦坂さんは東京支社の生物多様性推進室という部署で働いておられますが、主にどういったお仕事をされていますか?

はい。自治体や民間企業などの生物多様性の保全や啓発・体験に関する取組みの支援・コンサルティングを行っています。

色々な方とお話しながら問題を解決していく事が主な仕事ですが、元々は植物技術者として調査業務に携わっていました。

‐ 支援やコンサルティングというお仕事の中で、特に気をつけていることはありますか?

我々技術者としては当たり前のように使っていることば、常識が、一般の人にとっては非常に難しい、専門的な知識・考えであることがよくあります。

その点をよく注意して、できるだけ簡単な、わかりやすいことばで丁寧に伝えることが大切だと思います。なかなかできませんが(笑)。

‐ 植物の調査を主にされていたということですが、子供の頃から植物が好きだったんですか?

いえ。子供の頃から生きもの全般が好きでした。記憶にある最初の出会いは、4歳頃。当時住んでいた横浜市内の団地近くの公園で拾ってきたドングリ(クヌギ)を空き箱に入れて放っておいたら、中から“くりむし” がたくさん出てきたんです。びっくりしたけど“面白いなー!”と感動したことを覚えています。物心ついて「生きもの」「自然」をちゃんと認識するようになったのは、小学校低学年頃ですね。

‐ 動物や植物に囲まれて育つ環境があった?

そんなに自然豊かな環境で育ったわけではありません。5歳頃に団地から東京都町田市内の戸建ての家に引っ越したんです。多摩丘陵を開拓した典型的な新興住宅地でした。高校卒業までそこに住むことになるんですが、当時はまだ家の周りに空き地が多く、ススキの原っぱや、窪地に雨水がたまった池などを友だちと探し歩いては、いきものを採って遊ぶ毎日でした。

‐ それはそれで魅力的な環境ですね。

小学校中~高学年になっても続けてました(笑)。行動範囲と対象を広げて、生きもの好きの仲間と自転車で遠出しては、雑木林でクワガタ、谷戸の水路や田んぼでドジョウ・ザリガニ・カエル、小川や池で魚釣りなど、時には片道1時間以上かけて相模川まで繰り出していました。真っ暗になるまで遊んで、よく親にしかられていました。

‐ 友達と競い合ったり?

そうです。生きもの好きの仲間うちでは、みんなよりも「たくさん」「大きい」「珍しい」が羨望の的だったので、お互いその欲望を丸出しに、無心で野山を駆け回っていました。

‐ 興味が尽きることはなかったんですね。

はい。だから高校では生物だけは常に成績が良くてすごくバランスが悪かった(笑)。そういった事もあって、大学も造園系の大学に進学しました。この時点で自然環境全体を学びたいという気持ちがありましたね。

‐ その頃から生きものや自然環境に関する仕事をしたいという思いはあったんですか?

はっきり意識したのは大学院修士課程の頃です。下宿から時々実家に帰るんですが、電車の窓から子どもの頃に遊んでいた場所がよく見えるんです。

生きものを追いかけていた思い出の場所が、実家に帰る度にどんどん住宅地になって失われていきました。

‐ 思い出の地の消失を目の前で経験された。

そうですね…。寂しさと何とも言えぬ危機感のようなものを感じていました。そういう感情があって、せっかく緑地や環境について学んでいるのだから、失われていく身近な自然を何とか将来に残す、取り戻すようなことをやっていけないかと考えたのが、この職業を選んだきっかけです。

‐ ちいかんとの出会いはどんなきっかけだったんでしょうか。

大学に掲示される求人票に地域環境計画があったんです。他の建設コンサルタントや、造園コンサルタントの求人票もあったんですが、私の思いとしては造園のデザインや施工よりも、もっとフィールドに出て、自然環境と触れ合える所で働きたかった。それが一番叶いそうな会社が地域環境計画かなと思ったんです。

‐ 植物の専門家として鍛えられた?

最初はあらゆる調査に手伝いで連れて行かれました。猛禽類調査や昆虫調査もやりました。造園系の研究室で植物の名前はある程度知ってはいましたが、先輩方の知識量とはまったく比べ物になりませんでしたね。本当に一から覚え直した感じです。

‐ 厳しい指導がありましたか?

あまり体育会系な社風ではないので、そういうのはなかったですね。ただ若手なので現場の宿で整理する標本の数が膨大になってしまって…。ご飯が終わってから一人で黙々と標本整理していると、先輩社員がほろ酔いで近づいてきて(笑)、指導してもらうことはよくありました。

‐ ほろ酔い指導(笑)

そう、でも今考えても納得はするんですけどね。「こんな標本のとり方じゃ種名までおとせないだろ」とか「この時期にこれ取ってもわかんないだろ」とか。「これもこれも捨てちゃえ」とか言われて(笑)。でも今思い返しても指摘は的確だし、技術者としての「コア」な部分はきちんと伝えていただいていたと思います。結局指導方法は違っても、僕も後輩の子に同じことを言うので、感謝してます。

‐ 自分が失敗して、先輩に助けてもらうことも多かった?

それは苦い経験があって。入社1年目、現場の山の中で自分がどこにいるのかわからなくなったんです。どっちに進めばよいのかわからないまま斜面を下って(笑)。今の安全管理基準だと考えられないですけど。結局どこかわからないが道に出て、歩いていたら、なんと先輩が車で迎えに来てくれて…。なぜそこにいると解ったのかすごく不思議でした。地図を読み、現場を知る先輩技術者のレベルの高さに、ただただ感服するのみでしたね。

‐ やはり経験の蓄積が重要になるんですね。

そうですね。私にとっての座右の銘、というわけでもないですが、“根拠のない自信”を持つことが時に重要であることを意識しています。正確には“経験から得られる無意識の自信”とでもいうものでしょうか。

そのためにも、経験できることはできるかぎり前向きにとらえて経験してみる、という心がけが大切だと思っています。

‐ なるほど。これから経験してみたいお仕事などはありますか?

「経験してみたい仕事」と具体的に聞かれると困りますが、とにかく、やってる途中は、たとえ辛いことであっても、最終的にお客様やまわりの方に喜んでもらえて、自分も楽しめることができた、みたいな経験を積み上げていきたいですね。ありきたりな回答ですみません。

‐ コンサルティングという面では、お客様とのコミュニケーションの部分で、大変なところや、やりがいのある部分があると思います。

そうですね。「環境への配慮、何のために必要なの?」「メリットは?」という問いに対する「納得できる答え」は人それぞれなんだと思います。理論的な説明ができたとしても、相手が心から納得して、満足していただけるように解りやすく伝えることが、難しいところだなと感じています。

ただそのぶん、関心の薄かった人に、身近な自然・生きものへの『気付き』を持っていただけた時には、大きなやりがいを感じますね。

‐ お仕事以外の部分では、熱中されていることはありますか?

毎年、家族でキャンプに行きますが、その時だけでは道具がもったいないので、時々家のベランダにテーブル・椅子を出して食事して、キャンプ気分を味わっています(笑)。

‐ 自宅キャンプですか。楽しそうですね。キャンプ料理なんかもするんですか?

ベランダで燻製を作ってます(笑)。段ボールを使った手製の燻製箱で、肉や魚、チーズなど燻製にしています。「できたらお裾分けしますね!」と隣近所にひとこと言っておけば、住宅地でやっても煙への苦情はありません。

いまのところ…。

‐ この業界、もしくはちいかんで働くことを目指す人に、何かアドバイスはありますか?

最初のきっかけは「生きもの、自然が好きだから」でもよいですが、生きものや自然を調べることは手段であり、その先には、「人の暮らしを良くする」という大きな目的があることを常に思い描くことがとても重要です。

‐ 色々と面白いお話をありがとうございました。最後に、自分が一番心躍 る「生きもの」を一種あげて、思いの丈をぶつけてください。

「秋の七草」に代表される様々な野草類が生える、ススキやチガヤの草地が好きで、よく観察すると実に多くの種類の野草がみられる、ということを期待してついつい歩みを進めてしまいます。クサボケ、スミレ類、ニガナ、ノアザミ、リンドウ、アキカラマツ、ワレモコウ、コマツナギ、ナンテンハギ、ホタルブクロ…といろいろありますが、その代表格の一種がツリガネニンジンです。

名前のとおり、釣り鐘状の小さな水色の花が茎から放射状に並んで咲き(「輪生」という花の付き方です)、その花の輪が茎の中~上部に何段にも付いて咲く姿は“可憐” ということばをまさに具現化した美しさです。丘陵地の林縁や耕作地・集落の土手など比較的身近なところ、よくある環境で見られる野草の中では、個人的には断トツの美しさではないかと思っています。

 


いきもの好きの履歴書 バックナンバー
Vol.6 北海道支社 自然環境研究室主任 阿部 このみ


Vol.5 環境共生推進室主任 伊藤 元


Vol.4 大阪支社 生物多様性推進室主任 上村 晋平


Vol.3 名古屋支社 自然環境研究室室長 田中 一男


Vol.2 九州支社 自然環境研究室主任 津田 朋香


Vol.1 東京支社 生物多様性推進室室長 彦坂 洋信


 

 



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