2017年ちいかんカレンダー解説

燃料用の薪を集め、
炭を焼き、
山菜やキノコを採り、
屋根をふくためのカヤを刈って…

かつての里山は、
人々の暮らしに密着した適度な働きかけによって、
自然との共存のバランスがほどよく保たれていました。

しかし近年、
薪や炭から石油などの化石燃料への移行等により、
里山の価値は薄れていき、
過疎化・高齢化も伴って、里山は徐々に荒廃していきました。

人の手が入らなくなった里山では
放置された二次林や二次草原、耕作放棄地が拡大し、
身近な動植物の生息域の消失や、
種の減少が引き起こされました。
奥山でくらしていた野生動物も
畑や人家周辺へ出没しやすくなり、
農作物被害や人への危害を増加させています。

 

一方で、近郊の都市に住む市民は、
身近な里山の景観に親しみ、自然と触れあい、
レクリエーションを楽しみたいと願っています。

里山の荒廃を嘆く所有者と里山の活用を望む市民のあいだを、
国や自治体、企業や団体等がうまく橋渡しを行うことで、
市民が里山の重要性に気づき、魅力を発見しながら、
楽しく健康的に里山の管理と利用を行うことができるなら、
その地域は、活気にあふれた恵み豊かな現代の里山として
よみがえるのではないでしょうか。

それは地域の生物多様性を豊かにし、
さらには地方経済の循環にもつながっていきます。

 

そのように再生されていく現代の里山の理想のサイクルを、
このイラストで表現しました。




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