ちいかんコラム

2021
04.13

「持続可能な生きものとの出会い旅」ヒント20選

野生生物管理部 千々岩 哲
野生生物管理部
千々岩 哲(ちぢいわ あきら)

野生生物管理部 名古屋オフィスの千々岩です。

今回は、当社が作成に携わった事例集

「生きものとの出会いの旅を創る国内・海外 20の事例
(環境省 2021年3月)」

をご紹介します。

野生生物との出会いや、
その生息地で過ごすことを目的としたツアーに参加したことがありますか?

地域の自然や、それにまつわる文化についてより深く知ることができる、
こうしたツアーに私は積極的に参加しています。
顧客となることで、地域経済に貢献できますし、
自分自身、自然観察ガイドでもあるので、その伝え方の勉強にもなっています。

「野生生物観光」と称されるこのような旅コンテンツは、
資本となる生物やその生息地に支えられるもので、
人口減少、高齢化などの問題を抱える自然豊かな地域にこそ備わっています。

国連が進める「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成にも大きく貢献できる事業であり、
環境省が提唱している、
地域資源を活用することによって各地域が自立・分散型社会を形成し、
活力を発揮することを目指す概念である「地域循環共生圏」の柱のひとつにもなっています。

「野生生物観光」は地域の資源を活かすことで良質なツアーを提供するものですので、
野生生物の減少や生息地の破壊を引き起こす過度な利用といった
地域資源を損なう行為を防ぐことや、自然環境の保全や再生へ還元される仕組みが必要です。
そこには地域の関係主体、とりわけツアー実施者による積極的な取り組みが欠かせません。

そこで、「野生生物観光」を展開し、課題解決に尽力している国内・海外の先行事例を集め、
事例集として公表しました。

本書で紹介している国内の野生生物観光の事例(写真は当社提供)

ご紹介する事例を通して、
観光業を維持するためには同時に野生生物、自然環境を守っていくことが欠かせず、
そのために様々な立場の方が尽力していることがお分かりいただけます。

また、特に欧州のインバウンド旅行者は、
野生生物の観察においても動物福祉の配慮を忘れず、
参加費の一部が保全活動に活用されることに満足感を得ているなど、
日本人観光客との違いがうかがえます。

更に、いくつかの業界団体や企業は、このようなツアー参加者の信頼を得るために
動物福祉を含めたツアーの質を担保するガイドラインを作成しており、
意識の高さは、産業界に影響を与えています。

本書で紹介している海外の野生生物観光の事例(写真は当社提供)

事例集は、ツアーコンテンツを作成する方や、観光業に携わる方を対象として構成しており、
情報提供を重視した作りとなっています。
このため、国内外の事例紹介だけでなく、SDGsと野生生物観光との関係、
ツアー展開する上で関係する法律などについても紹介しています。

文字の多さに戸惑われるかもしれませんが、その情報は濃密です。
是非、ご一読下さい!



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