ちいかんコラム

2017
04.21

「木育」はじめてみませんか?

北海道支社 生物多様性推進室長 岡田 美佳

北海道支社 生物多様性
推進室長 岡田 美佳

みなさん、こんにちは。
北海道支社 生物多様性推進室の岡田です。

今回は、私が数年前から取り組んでいる「木育(もくいく)」についてお話ししようと思います。

みなさんは、木育という言葉をご存知ですか?
字面を眺めると、「木を植えて育てること」という意味にも取れそうですね。

 よく耳にするところでは「食育」、最近では「農育」「水育」「花育」などと様々な「○育」がありますが、木育も、これらと同様のニュアンスを持つ概念です。

北海道水産林務部森林環境局森林活用課のホームページでは、「木育とは、子どもをはじめとするすべての人が『木とふれあい、木に学び、木と生きる』取り組みです。」と記されています。

実は、木育は、2004年に北海道と道民による「木育推進プロジェクトチーム」によって生み出された、北海道発の言葉なのです。

北海道が提唱する木育は、直接的には、木と触れ合い、木を身近に使うことを通じて、人と木・森とのかかわりを主体的に考えられる、豊かな心を育むことを目標とした取り組みです。

木育が目指すものは、身近な自然やくらしの中で樹木や木工に親しむことが少なくなった時代に、人と自然とのつながりを回復し、それにより自然に対する思いやりややさしさ、自然を愛でる気持ちを育むこと、そしてその経験を知恵や技術として活かすことにより、木の文化を次世代に引き継ぎ、自然と共存する持続可能な社会を実現することです。

北海道には、道が認定した木育マイスターが200名います(2017年1月現在)。木育マイスターは、自治体やNPO等の市民団体、民間企業等と連携して、木育を推進すべく、木育に関するお話し会を行ったり、自然観察会で森の木々について紹介したり、木工教室で木材を使ってお箸やアクセサリーを作ったりと、様々な活動を行っています。私も木育マイスターの一人として、皆さんの活動のお手伝いをしています。

 

札幌の都心で開催されたイベントの木工体験コーナー。 通行人もチャレンジすることができます。

まちなかで開催される木工体験は、通行人がチャレンジできるものも。

 

「木棒=きぼう」を詰め込んだ「きぼうのプール」。東北被災地への寄贈活動も行っています。

「木棒=きぼう」をいっぱいに詰めた「きぼうのプール」。
メッセージを込めて東北被災地へ寄贈する活動も行っています。

 

木育の概念は、北海道の外にも広がりをみせています。

林野庁では、2006年に閣議決定された「森林・林業基本計画」に初めて木育という言葉が登場しています。この時は、"木材利用に関する教育活動"として表現されていました。
その後の「森林・林業基本計画」においても、"国民生活に必要な物資としての木の良さやその利用の意義を学ぶ活動"(2011年)、ESD(持続可能な開発のための教育)を踏まえた"持続可能な社会の構築に果たす森林・林業の役割や木材利用の意義への理解と関心を高める取り組みの一つ"(2016年)として、少しずつ変化をしながらも、推進すべき施策として取り上げられています。

近年は木育の取り組みを推進する自治体や企業・団体等が増え、2014年からは毎年「木育サミット」が、2016年からは「木育・森育楽会」が開催され、各地の活動団体の交流の場となっています。

“木育活動”というと、何か難しいことや特別なことを行なうのでは? と構えてしまうかもしれませんが、少し意識するだけで、普段の生活の中に木育を取り入れることは可能です。
会社や自宅の中を見回すと、木の加工品はたくさんあります。また、通勤途中でも様々な樹木を目にすることができます。日々のくらしの中で、木に興味を持ったり、木と触れ合ったり、木から何かを感じたり、木を使ったり… そういったこともすべて木育になるのです。もちろん、そこから自分が感じたこと、体験したことを誰かに伝えることも木育になるでしょう。

みなさんもぜひ今日から「木育」、はじめてみませんか?

 

 



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