ちいかんコラム

2016
05.18

ザリガニと、ザリガニと、ザリガニの話
北海道のザリガニ事情 vol.1 ニホンザリガニ

北海道支社 自然環境研究室 熊沢純一

北海道支社 自然環境研究室
熊沢純一

 

皆さん、はじめまして。
地域環境計画 北海道支社 自然環境研究室の熊沢純一です。

入社時は本社(現・東京支社:世田谷区)、
その後に東北支社(福島市→仙台市)と転勤して、
現在では北海道支社(札幌市)に籍を置いております。

今回はザリガニについてご紹介させていただきます。

何でザリガニ?とお思いかもしれませんが、実は北海道には3種のザリガニが生息しているのです、ご存知でしたでしょうか。

しかし、ザリガニ良いですねぇ、かっこよいですねぇ、可愛いですねぇ、3種いてよかったですねぇ、と単純にはいかず、ここにも外来種の問題、というものがあります。
北海道のザリガニ類3種のうち、在来の種としては1種のみで、他の2種は北米原産の外来種なのです。そこで、これらザリガニ類を題材として、在来種と外来種のかかわりのお話をしたいと思います。

まずは第1のザリガニ、ニホンザリガニについてです。

 

ニホンザリガニ

ニホンザリガニ

ニホンザリガニは道内に広く分布する種で、北海道以外では東北地方の一部にも生息します(単にザリガニと記す場合もありますが、ここでは他種と混同するのでニホンザリガニとします)。

多くの方はただ “ザリガニ” と言うと、アメリカザリガニを連想するかもしれませんが、このニホンザリガニのみが日本に元々生息していた在来のザリガニです。

また、名前や存在を知っていたとしても、北海道出身の方以外では見たことがないという人が殆どではないでしょうか。

ザリガニの名に恥じぬ発達した鋏脚を持ちますが、体は他2種と比べると小さく丸みを帯び、どちらかと言えば可愛らしい存在です。おまけに、水底にたまった落葉が主食という、慎ましい、清貧、を通り越して・・・地味です。

 

nih3

 

ニホンザリガニニホンザリガニは、河川の源流部や湖沼等の、水温が低く水質が良好な水域に生息しています。
とはいえ、決して幻の存在ではなく、北海道では人家に比較的近い山裾や丘陵地等でもみられることがあります。このため、生息地と開発地が重なることもあり、生息調査や移植等の保全措置を行うこともあります。

北海道の大自然、といえばオジロワシやオオワシ、タンチョウ、ヒグマ等、スター選手がそろっています。しかし、良好な環境に依存し、人知れず?ひっそりと暮らすニホンザリガニもまた、北海道の自然を表現するのに外せないメンバーの一員かと思います。

さて、ニホンザリガニは在来種です。国内に生息する生き物です。これに対し、海外からやってきて国内に住み着いた生き物は、外来種と呼ばれます。

外来種、何だかよくないイメージです。かなり悪者っぽいです。実際のところ、国内の在来の生態系に及ぼす影響も大きく、外来生物法として法律的に扱いが規制される生き物も出てきました。
勿論、個々の生き物が悪いわけではありませんが、その影響を考えてしまうと、このまま放置することもできません。

そこでいよいよ、外来の2種のザリガニをご紹介し、ニホンザリガニとの関係や、地域の生態系に及ぼす影響等をご説明したいと思います。

・・・と、思いましたが、話が長いと怒られましたので、今回はすみませんがここまでとなります。

 

次回、ウチダザリガニ登場、これは見逃せない!!

 



ページの先頭へ戻る