ちいかんコラム

2015
05.26

好奇心に応える姿勢に感銘
~チョウの観察会に一市民として参加して~

名古屋支社 自然環境研究室 澤田昭男

名古屋支社 自然環境研究室
澤田昭男

皆さん、こんにちは。
名古屋支社 自然環境研究室 澤田昭男です。

今回は、私が参加している「チョウ(蝶)の観察会」についてご紹介します。
この観察会の名称は正しくは『なごや環境大学 共有ゼミナール「名古屋蝶の飛ぶまちプロジェクト」のチョウの生態調査を目的とした自然観察会』といいまして(長い…)、
以前お仕事をさせていただいた竹中工務店様からお誘いがあり参加するようになって2年になります。

 

捕虫網の使い方もサマになっています

捕虫網の使い方もサマになっています

この観察会は、専門家の指導のもと、企業から研究者、一般市民の昆虫に詳しい方、小学生等が参加して、名古屋中心部のコア緑地である名城公園、東山、鶴舞公園などを調査し、月1回から2回の頻度で、4月から11月までチョウの成虫の種数、個体数を調査し、データを集積するものです。最初はこの地域にどんなチョウが生息しているのかを確認する機会になる!と仕事の延長のような気持ちで参加しました。実際参加してみて、生息種の確認はもとよりたくさん気づかされたことがありました。

ボランティアの方とチョウの種類を確認中

ボランティアの方とチョウの種類を確認中

1つは、ボランティアで参加されている方のチョウに対する一生懸命さです。観察会に参加し、指導されるボランティアの方は、長年地域の自然観察会などで活動されてきたベテランで、生物の知識も豊富な方ばかりです。そのような方が、何処にでも見られるチョウであっても、捕獲して手にし、丁寧に観察する姿勢を徹底して貫かれます。

例えばヤマトシジミというチョウは何度も見かけましたが、子供たちは見かけたらその都度、捕獲したがるものです。ボランティアの方々は「それはもう確認したね」と簡単に済ませるのではなく、捕まえて子供たちに触らせ、オスかメスかを確認させるなど、その好奇心のひとつひとつに応えようという姿勢を強く感じました。

もう1つは、観察会を通じた子供たちの成長です。観察会には小学生の娘を連れていきました。最初は歩きまわる観察会に疲れてしまい、億劫がっていたのですが、今では自分から積極的に走ってチョウを追いかけます。夢中で追いかける姿や、捕獲できたときの嬉しそうな表情に娘の成長を感じます。

捕える気満々の気持ちが伝わってきます

捕える気満々の気持ちが伝わってきます

最初はチョウには全く興味のない娘でしたが、先日、「パパ、アゲハの名前の由来を知っている?」とクイズを出されました。何でも学校で教わってきたらしく、「羽をあげて蜜を吸うところからアゲハと名づけられたんだよ」と目をきらきらして教えてくれました。

私は長く生きものを相手に仕事をしていますが、この観察会をとおして、子供たちのチョウへの純粋な好奇心を育んでくださったボランティアの皆さんの姿勢に強い感銘を受けたのと同時に、一市民として「自然や生きものと共生」についてあらためて考える機会になりました。

生き物のプロとして、これから仕事をする上でのよい糧にしていきたいと思っています。

 

観察会で確認されたアサギマダラ

観察会で確認されたアサギマダラ

アサギマダラは半透明の翅が特徴で鳥のように長距離を移動し渡りをするチョウです。

再捕獲されたら、どこまで移動したのかが分かるように、翅に印をつけるマーキングを行います。

※蝶が眠っている間に印をつけますので、目が覚めたら元気に飛び立っていきます。

 

「蝶の飛ぶまちプロジェクト」は竹中工務店様の名古屋市における環境CSRの取組みで、2010年から2012年にかけて実施した、豊かな環境の指標生物である蝶がすみやすい都市環境づくりの研究です。現在は、研究で得られた知見を生態系保全活動に活用されています。

※「名古屋 蝶の飛ぶまちプロジェクト」WEBサイト
http://www.takenaka.co.jp/enviro/data/butterfly/

現在このプロジェクトは、なごや環境大学が引き継ぎ定期的に講座を開催しています。
http://www.n-kd.jp/index.html
なごや環境大学は、名古屋市民やNPO、企業、行政などが協働で運営している環境学習のネットワークです。自然観察会や工場見学など子どもから大人まで学べる講座が多くあります。

 

 



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