ちいかんコラム

2017
02.07

空飛ぶ哺乳類

九州支社 自然環境研究室 衣笠 淳

九州支社 自然環境研究室
衣笠 淳

 

 

みなさん、こんにちは。
九州支社自然環境研究室の衣笠です。

私は哺乳類を専門分野としており、獣害対策・外来種対策などの調査に携わることが多いのですが、今回は、翼を持ち、自由に空を飛び回ることができる唯一の哺乳類「コウモリ」について紹介したいと思います。

 

みなさんは、「コウモリ」といえばどんな生きものを想像されるでしょうか?
「闇夜を飛び回り、血を吸って生活している吸血鬼」こんな不気味なイメージもあれば、中国では「蝙蝠」と表され、この「蝠」の字が「福」と同じ読みであることから、「幸福の象徴」として扱われたりもしています。

世界中を見ると、確かに「血」を食べ物とするコウモリもいるのですが、それはほんの一部です。(血を吸うコウモリは日本国内にはいません。)
コウモリの多くは虫や果物などを食べており、中にはカエルや魚を食べる種類もいます。蚊を食べてくれるとても貴重な生きものでもあります。

このコウモリの仲間、日本には約40種が生息していると言われています。
これは日本に生息する哺乳類のなかで一番多い種類です。

家屋をねぐらとし街中を飛ぶアブラコウモリ、洞窟にぶら下がっているキクガシラコウモリ、沖縄の方からすれば翼を広げると80㎝近くにもなるオオコウモリをイメージされる方が多いでしょうか。  

 

南西諸島にいる巨大コウモリ           鼻の形が特徴的    .     
クビワオオコウモリ            キクガシラコウモリ .

こちらの鼻は少し長めテングコウモリ、とにかく黒いクロホオヒゲコウモリ

こちらの鼻は少し長め             とにかく黒い  .
 テングコウモリ             クロホオヒゲコウモリ.

 

1種1種の説明をするのはとても長くなってしまいますので、今回は種類ではなく、その調べ方をご紹介します。

 

御存知だと思いますが、多くのコウモリは夜に活動しますので、調べる時間も夜が多くなります。真っ暗な夜空を飛び回るコウモリ、これを見つけるのは至難の業です。

バットディテクター

バットディテクター

そこで登場するのが
「バットディテクター」。
コウモリ調査の必需品です。

コウモリの声は通常、人の耳では聞こえないのですが、それを聞こえる音に変換する装置です。これさえあれば誰でもコウモリを見つけられる便利道具なのです。

 

バットディテクターはコウモリの声を確認する装置で、種類まではわからないことが多いです。そのため、種の判別のための捕獲もします。

ハープトラップ

ハープトラップ

捕まえる方法はいろいろです。

洞窟などで休息中の個体を直接手や網で捕獲したり、コウモリが飛んできそうな場所に「カスミ網」や「ハープトラップ」という道具を設置して捕獲したりもします。

≪注意!≫ コウモリを捕まえるには「捕獲許可」が必要です。許可なく捕まえたり、触ったりすることは法律で禁止されています。

 

街灯一つ見えない山中でコウモリを捕まえる。不思議な仕事ですが、コウモリの生息分布状況はまだまだ知られていないことも多く、「○○で初記録」なんてこともまだあります。そんな何が捕獲できるかわからないドキドキを抱きながら、夜な夜な調査に出かけます。

みなさんもぜひ、夜空を眺めてコウモリを探してみてください。



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