2016
01.27
動物たちへの熱き想い
~フィールドでの出会いを求めて~
みなさん、こんにちは。
大阪支社 自然環境研究室チームリーダーの中島です。
大阪支社の中で私が主に担当しているのは鳥や昆虫の調査ですが、年度末は取りまとめや報告書作成等、会社にこもって内業にかかりっきりになることが多くなります。
そのような日々の中でも、私はリフレッシュを兼ねて近くのフィールドに足を運び、生きものを身近に感じることでモチベーションを保つことにしています。
今回は、普段なかなか出会うことができない動物たちへの想いについて書きたいと思います。
実は身近に生活している動物たち
みなさんは、野生動物に出会ったことがあるでしょうか?夜に車で山道を走っていてヘッドライトに照らし出されたニホンジカ、あるいは、街中で溝から溝へさっと走り去るイタチの仲間・・・こんな光景をご覧になったことがあるかもしれませんね。
人が生活する集落の近くでも、キツネやタヌキ、ネズミ類など、実は多くの野生動物が生活しています。しかし、その姿を見る機会は滅多にありません。彼らは警戒心が非常に強く、人目を避けて夜に活動することが多いため、人の目に触れる機会が本当に限られているのです。
フィールドでの心躍る出会い
私たちは、一年のうちに100日以上も現地調査に出ています。そんな私たちのフィールドは、野山や河川など彼らのすみかでもあります。運が良ければ、その姿を間近に見ることができます。
あるときは、森の中で調査をしていると美しいテンが私に気づかずに歩いてきて、5m先を何事もなかったかのように通り過ぎたことがありました。またあるときには、林道脇にノウサギの子供がじっとうずくまっていて、危うく踏みつけそうになったこともありました。普段の生活ではまず出会うことがない彼らの姿を目の当たりにすると、こちらも興奮して胸が高鳴るのです。
彼らの姿を一度目にすると、次はどのような暮らしをしているのかがとても気になります。何を食べているのか、いつ・どこでどんな行動をしているのか・・・私たちが見えない真っ暗な森では、きっと彼らが自由に闊歩していることでしょう。彼らが夜に森の中を歩き回る姿を想像するだけで、とても楽しい気持ちになります。
動物たちと同じ空間に身をゆだねる幸せ
現地調査では、動物たちの確認手段として自動撮影装置という機材を用いることがあります。けもの道や水場など、彼らが立ち寄りそうな場所にあらかじめカメラをセットし、何日も(時には何か月も)置きっぱなしにしておきます。カメラをセットした場所に彼らが訪れると、熱感知式のセンサーが反応し、自動でシャッターが切れるという優れものです。この装置を使えば、比較的苦労せずにそこで生活する動物たちの姿を写真に収めることができます。
しかし、私は彼らが夜に活動する写真を自分で撮影したいと考えています。彼らが住む森に身を置いて、彼らが落枝を踏み分ける音を聴き、彼らと同じ空気や温度を感じながら、その時の情景を自らの手でフィルムに焼き付けたいのです。
そんな熱い想いから、私は様々な機材を準備して夜の森の中でじっと息を殺し、彼らとの出会いを待ち望んでいます。しかし、彼らもさるもの、そんなに簡単には姿を現してはくれません。私の気配を察知して、逃げていく足音だけが聞こえたりすることもあります。朝まで粘って結局シャッターを一度も押せなかったことが、何度あったことでしょう。それでも、彼らと同じ空間で彼らの気配を感じられただけで、言い知れぬ満足感と次への期待感が湧き上がってくるのです。いつか必ず・・・夜の世界で活動する彼らの活き活きとした姿をフィルムに焼き付けたいと思っています。今後も夜の森では、私と彼らの知恵比べ、根性比べが続くでしょう。